金谷俊一郎氏のコラム
第3回:『スパイが暗躍した時代』
第3回:『スパイが暗躍した時代』

「閃光のナイトレイド」の舞台となる1931年より10数年前の1918年に第一次世界大戦が終結、
翌年にヴェルサイユ条約が締結されました。この時世界が思ったこと。
それは、「二度とあのような大戦をおこさないこと」でした。

その目的を実現させるべく、1920年には国際紛争の平和的解決と国際協力のための機関として国際連盟が成立します。
しかし、この国際連盟にアメリカは他国への相互不干渉を意味するモンロー主義を理由に不参加、
ソ連・ドイツといった大国も当初連盟への参加を許されませんでした。
また、国際連盟の決定は多数決ではなく「全会一致」が原則であったため、各国の足並みがなかなかそろわず、
平和機構としての機能が十分に果たせませんでした。

また、1921年から22年にかけて開かれたワシントン会議では、いくつもの軍縮・国際平和の条約が締結されました。
しかし、その内容は、「最近急成長してきた有色人種国家である日本」の力を抑止し牽制する目的ともとられかねないものでした。
不完全な国際平和機構と、一部の大国の利益のみを重視した国際平和は、多くの不満や鬱積を生み出す基となりました。
そのため、実際の国際社会は国際平和の理想とは大きくかけ離れたものとなっていくのです。
第一次世界大戦前よりも諜報活動が活発になり、多くの租界を抱える国際都市上海では、
この1920年代から30年代にかけて多くのスパイが暗躍することになります。

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