歴史ナビゲーター・金谷俊一郎氏のワンポイントコラム

◆◇◆第1回

「閃光のナイトレイド」第1回、ご覧になりましたかっ!

昭和初期オタクの金谷俊一郎としては、アニメーションの随所にみられた時代考証の細やかさにドッキドッキされっぱなしでしたっ!
特に驚いたのが、上海の夜の闇の加減ですね!窓からの灯り、そしてその灯りに照らされた夜の具合がいかにも、1930年代といった感じがして素敵でした!もちろん、服装や時計・小物といった一つ一つにも丁寧な時代考証を感じました。



また、登場人物の中にある、スパイであることのやりきれなさ、苦悩、しかしながら、自らの特殊な能力故に、自らがスパイであり続けなければならず、冷徹に任務を遂行しなければいけない…。昭和初期のスパイは、そういった特殊な能力はなかったものの、当時のスパイ像を忠実に再現しているところが嬉しくなっちゃいました。

さて、ここで、本話をより深く楽しむ上で、必要なキーワードがいくつかありましたので、ご説明していきましょう。

まず当時の中国は、蒋介石を首席とする中国国民党が、1928年に南京に成立した中国国民政府を成立させました。
しかし、この国民政府というのは、中国全土を完全に支配していたというわけではありませんでした。
当時の中国には、各地域に軍閥と呼ばれる日本でいう戦国大名的なものが割拠しており、彼ら軍閥の中には、表向きは、中国国民党に従ってはいるものの、中国国民党の動きを快く思っていない輩もいたわけです。本作で鏑木会長を誘拐した劉軍閥もそのうちの一つとなります。

当時の中国国民政府は、まさしく各地の軍閥を勢力下におこうとしていた時期でした。劉軍に対して中国国民党が砲撃をおこなったのも、そのためといえます。

スペシャルへ戻る