「閃光のナイトレイド」最終話アフレコを終えて ~メインキャストインタビュー~


アニメノチカラ第2弾作品として、4月から始まった「閃光のナイトレイド」のオンエアもついに終了。
先の読めない展開や特殊な世界設定、メッセージ性の強いストーリーなど、
様々な側面で話題を呼んだシリーズでしたが、キャストの皆さんはどのように感じられたのでしょうか?
最終話のアフレコ現場にお邪魔し、お話を聞いてまいりました!


◆◆最終話のアフレコ、お疲れ様でした!まずは収録を終えての感想をお聞かせください。

三好葵 役:吉野裕行さん

オンエア分13本、あっという間に終わりました。後半は割と外国語が少なくて、ちょっと楽をさせていただいた気もします(笑)。
正直なところ「あぁ、終わったんだな」という思いです。

伊波葛 役:浪川大輔さん
ハードな作品だったので、無事収録を終えてホッとしたところもあります。最後どうなるか分からないのがオリジナルならではの楽しみだったので、凄くドキドキしていました。そして葛は絶対に死ぬと思っていたのに生き延びてしまいました(笑)。

吉野さん

死にたがってたもんね。
浪川さん
死んじゃいけない人たちがどんどん死んでいくんだなと、寂しさを覚えた1日でした。

苑樹雪菜 役:生田善子さん
やっとアフレコに慣れてきたと思ったらもう終わりということで、率直に寂しいです。
雪菜のキャラクターを掴みきれていたかどうか分かりませんが、雪菜が最後に伝えたかったことだけはやりきれたと思います。

鍵谷棗 役:星野貴紀さん
まさかまさかの展開が待っておりまして(一同笑)。しかしその中で自分のできることはやれたのではないかと思います。
時代的にも繊細なモノを扱っている作品だけに、この作品に関われたことを嬉しく思って散っていきました。

風蘭 役:藤田咲さん

最初にお話をいただいたときは、出演しても1、2話かな?と勝手に思っていたのですが、最後までストーリーに関わることができて凄く嬉しかったです。最終回のVチェックをした時に凄く泣けて……13本の重みが心に響く作品だと思いました。その重みを、見ている方々にも伝えられたら良いなと思いながらアフレコを終えました。

遊佐静音 役:川澄綾子さん

最初はナレーションだけだったので物語を俯瞰で見ていたのですが、途中から物語に深く関わっていくことになり、凄く不思議な感覚を覚えました。史実を基にしているということだったので、終わりには皆が知っている通りの歴史が待っているはずだと思いつつも、それまでの話をどのように描いていくんだろうと毎週楽しみにしていました。このラストが未来に繋げるベストだったのかな?などと考えさせられました。

桜井信一郎 役:大林隆介さん

最後は本当にびっくりしました(一同笑)。120%の達成感はもちろんあるのですが、ただ改めて我々の仕事には大勢の人が関わってやっているんだなと感じました。残念なのがそのスタッフの一人が途中で倒れてしまったということ……。達成感と相俟って複雑な気持ちです。一日も早い復帰を願っています。皆さんお疲れ様でした。

高千穂勲 役:平田広明さん

最初の内は台詞が少ないと思っておりましたが、話が進むに連れてなんだか難しいことを言いはじめるわ、日本語じゃないことを言いはじめるわで……13本で良かったなと心の底から思っております(一同笑)。あんなに一生懸命頑張ったのに、まさか最後にあの人に殺されるとは・・・、悔しくてなりません(一同笑)。


◆◆印象に残ったシーン、台詞があれば、教えていただけますか?

吉野さん
心に引っ掛かる台詞やシーンはたくさんありますが、個人的には、最終話の「遠くへ飛んで、二度とこの世界に現れるな」という台詞。
葵の願いが鮮明に残っています。

浪川さん
この作品は凄く重いテーマを扱っているところがありますし、最後も、皆が手を挙げて喜ぶようなハッピーエンドではありませんでした。
だからこそ逆に、葵と風蘭の会話とか、何気ない日常の幸せが映えていたような気がします。自分はそんなところにも、この作品の良さを感じました。

平田さん
英語の先生は乗せ上手でしたよね、現場では助かりました。収録前に、外国人の先生が喋る音源を頂くんですけど、最初は速すぎて発音が掴めなかったんです。だから「ゆっくりバージョン」も入れてくださいとお願いしたんですが、新たにいただいた音源には、同じスピードのものが3回入ってました(一同笑)。誰か彼に「ゆっくり」の意味を教えてあげてくださいと思ったのが、一番・・・じゃないか(笑)。とにかく、先生がゆっくり喋れないのが印象に残りました(一同笑)。

大林さん
僕は外国語なかったんですよ。これが嬉しくてね(笑)。
吉野さん
絶対に桜井さんも外国語を喋ることになると思ってたんですけどね(笑)。

大林さん
この作品には良い台詞がいっぱいあったけど、その中でも特に、葵くんに対して言った「君にはこれ以上嫌われないようにしたいね」という台詞(第1話)は、結構強烈だったね。あと「東アジアの繁栄と平和は理想だよ」というのは今の時代にも言える台詞なのかなと。

川澄さん
静音と葵が再会したシーン(第9話)が印象に残っています。それまでほとんどナレーションしかしていなくて、静音として喋ったのは一言ぐらいだったのに、急にあんなに大事なことを喋り始めて……びっくりしました。浮世離れしていてちょっと抜けているところが愛らしくて、そんなところが葵にはたまらなかったんだろうなと思いました(笑)。葵がベタ惚れだったじゃないですか・・・
吉野さん
えっ?そういう話でした?(一同笑)
川澄さん
そうですよね?静音はそうでもなかったみたいなんですけど(一同笑)。
吉野さん
ひどい!
川澄さん
女の人って、新たなことがあると、意外とあっというまに過去を切り捨てるじゃないですか?その典型みたいなシーンだったなと思いました。
吉野さん
何かあったんですか(笑)?
川澄さん
ないんですけど(笑)、葵はそれが分からずに「馬を連れて戻ってくる」とか言っちゃって(一同笑)。「帰ってきたらいるわけないじゃん」みたいなことを色々考えさせられたシーンだなと思いました。
吉野さん
どういうこと?(笑)
浪川さん
まあ、吉野君のことじゃないですから。葵ですから。
川澄さん
吉野君は・・・
吉野さん
俺の話はいいから!
川澄さん
吉野君はあんなことはしないと思いますけど(笑)。

藤田さん
風蘭に関するところで言うと、4人で写真を撮ろうというシーン(第12話)は最終回にも活きていましたし、凄く良いなと思いました。
自分的にはそのシーンで風蘭に可愛さを求められてちょっとテンパってましたが(笑)。OKをもらった後もソワソワしてしまいました(笑)。

星野さん
「ほんの数週間日照りが続くだけで、大勢死ぬ場所もある」という台詞(第9話)がありまして、「そういう事がなくなるのなら銃をとる」という、貧農出身の棗ならではの考え方が印象に残っています。実際に今年は冷害で大変という話もありますし、僕の実家が農家だということもあり、人ごとじゃないなと思いました。

生田さん
列車に乗っているのが静音さんかもしれないとなって、葵に「確かめるのよ、呼びかけて」と促すシーン(第8話)が印象的でした。そうしてしまったら葵は任務を離れて静音を追いかけてしまうことが分かったはずなのに……。その台詞で雪菜は桜井機関というよりも、仲間ひとりひとりを見ているんだなと思いました。


◆◆それでは、最後にファンの皆様へメッセージをお願いいたします。

平田さん
13話という長くはない話ですけども、その中で凄くドラマチックなことがたくさん起こっています。時代的な背景など、難しかった部分もあるかと思いますが、現実と空想の部分が上手いこと融合しているので、そこを楽しんでいただきたいなと。英語はあまり聞かないでください(笑)。

大林さん
たかがアニメ、されどアニメという感じで、演じていても珍しい作品だなという印象がありました。最近は、歴史の授業で第二次世界大戦とか昭和初期について教わらないこともあるという話を、若い人から聞いたことがあります。僕は戦争を知らない世代のトップで、今の日本は戦争を知らない人が本当に多くなってるんだなぁ、と感じています。このアニメが、昭和初期に興味を持つきっかけになってくれたら嬉しいですね。

川澄さん
この時代については私も詳しく習っていなくて、日本に関する話なのに日本人が全然知らないんだということを改めて思いました。この作品は、舞台背景を知っていたり、歴史に興味があったりする方は、より深く楽しめる作品だと思いますし、そうでなくてもスパイアクションものとして楽しめると思います。まずは見ていただいて何か新しいことを知るきっかけになったら良いなと思いました。

藤田さん
私は風蘭の立場からこの作品を見ていました。作品の中で「日本人最低なっ!」という台詞があったのですが、日本人である私が風蘭として「日本人最低」と言うことに凄くジレンマを感じて、今自分が関わっている作品が重いものなんだなと感じた瞬間でした。視聴者の方々がこの作品にどれだけ向き合うかによって、返ってくるモノの大きさが違ってくると思います。覚悟して見てくださいと言う気もないのですが、避けてきた方がいらっしゃるようでしたら、一度作品に触れていただいて、少しでもこの時代に生きていた人たちのことを考えていただけたら良いなと思います。

星野さん
収録が始まる前は超能力スパイアクションということで、ノリノリで見ちゃうぞと思っていたのですが、蓋を開けてみると普遍的なテーマを扱った作品、且つちゃんと考えることもできる作品となっていました。今の時代だけでなく10年後20年後でも楽しめる作品だと思いますし、見る度に何かしら考えられる作品になっていると思うので、お爺ちゃん、お父さん、私の3世代で見ると面白いのではないかと思います。

生田さん
最終回の収録に臨む前に、1話から放送された回までを一気に見返しました。続けて見ることによって新たに発見したことが多く、ストーリーもより深く理解できたので、この作品を見て興味を持った方は、ぜひもう一度、1話から続けて見て欲しいなと思いました。あと、最終回の最後にある雪菜のモノローグは、現代の人に問いかけているところもありますので、そういう部分も考えながら見ていただけたら……と思います。

浪川さん
『閃光のナイトレイド』。結局最後までロボットは出てきませんでした(笑)。
この作品に登場するキャラクター達、例えば高千穂勲、桜井さん、そして葵、葛――どのキャラクターにもそれぞれ違った考え方があります。誰が善で誰が悪という事ではなく、価値観の違いによって歪が出てきたり、ドラマを生んだりする……そんな事を示唆していた作品だなと思いました。
一見難しい作品に思えるかも知れませんが、自分には合わないと決め付けず、ちょっとだけでも興味を持ってもらえると、意外とはまってもらえるんじゃないかなと思います。数あるアニメ作品の中でも異質なポジションにある作品だと思うので、こういったアニメも楽しんでもらえると嬉しいです。

吉野さん
ああいう時代、ああいう場所が舞台だったからなのかは分からないですけども、この作品のキャラクターたちは皆生きることに必死でしたよね。本気で何かの為に、誰かの為に生きる……そんな姿を見て、何か引っ掛かってくれたら良いなと思います。 完全にオリジナルのアニメーションというのは珍しいですし、アニメーションってこういった一つの可能性を示せるところが素晴らしいと思うので、まだ見ていない方はぜひ見ていただきたいと思います。見ていただいた皆さんは本当にありがとうございました。


皆さん、ありがとうございました!

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